トップページ ⇒ 企業との交流(企業訪問) ⇒ 活動紹介

第6回活動紹介  株式会社 消費科学研究所様

2007年7月10日(火)に株式会社消費科学研究所様を訪ね、品質管理室兼消費者情報室室長 篠 岳様、
技術顧問 田辺 博昭様、大丸大阪・心斎橋店 消費生活相談コーナー  西尾久絵様にお話を伺いました。

1.企業の概況・お客さま関連部門の位置付けや事業内容

母体である大丸の創業は1717年。今年で創業290年。一方、消費科学研究所の前身は、1927年、大丸大阪店(現心斎橋店)に染色試験室・衛生試験室として誕生し今年で80年を迎える。戦前の1934年、JISのなかった時代に大丸実用標準規格を制定し、規格に合わない商品は売らないという画期的な方針を打ち出した。1974年には大丸消費科学研究所と改称し1986年、株式会社消費科学研究所として独立する。従業員数は、品質管理室、消費者情報室等、合わせて80名である。 衣食住にわたる幅広い分野において、商品の品質試験・評価、商品開発協力、品質管理業務のコンサルティング、ウェブサイト上での品質・商品知識情報の提供、研修・セミナーの実施等を行っている。これら業務の取引先は大丸だけではなく、多数の一般企業が含まれる。その他、消費者向けの情報発信の一環として、年2回、生活情報冊子「くらしのさいえんす」を発行している。(大丸各店の消費生活相談コーナーにて配布) 大丸直営店6店(心斎橋店、梅田店、京都店、神戸店、東京店、札幌店)に設置された消費生活相談コーナーにおいては、消費科学研究所から派遣されたコンサルタントが顧客対応を行っている。コーナーへの品質苦情相談件数は、6店合計で2736件(平成18年度)。それらの相談内容はオンラインで消費科学研究所に送られ、必要に応じて品質試験が行われ、その結果はコンサルタントを通じて顧客にフィードバックされる。また、同時に大丸各店や取引先メーカーにもフィードバックされ、商品の改良・改善を要請している。すべての相談内容は「お客様情報システム」データベースに入力され、イントラネットを通じて消費科学研究所や大丸関係部署間で情報が共有されている。この「お客様情報システム」は来年リニューアル予定で、さらに幅広い活用を目指している。

2.企業としての消費者志向(CS)に対する取り組み

大丸では創業以来「先義後利」(義を先にして利を後にする者は栄える)を事業の根本理念として定めている。この理念に基づき設立されたのが消費科学研究所である。「製品の品質は消費者の要求により改善される」という視点から品質管理を行っており、消費者の立場に立った姿勢もこの「先義後利」から生まれている。 1974年消費者苦情を徹底的に分析し、消費者ニーズを適確に把握するため、同業他社に先駆けて大丸店内に開設されたのが消費生活相談コーナーである。ここでの業務は、長年の消費者対応業務の経験から生まれた対応マニュアルに基づいて行われる。マニュアルの根幹をなすのは「先義後利」の理念であり、コンサルタントはマニュアルの研修を通じてその姿勢を身につける。お客様のさまざまなクレームに対する対応を、単なる苦情処理に終わらせるのではなく、消費者苦情からの情報を川上である取引先メーカーに上げ、品質改善に結びつけている。 また同研究所では、商品が消費者の手に渡ったときにどのような条件や状況のもとで使われるのか使用状況を想定した商品試験(市場に出る前の試験やクレームに伴う試験)が行われており、ここでも消費者志向がうかがえる。

3.消費生活アドバイザー有資格者の勤務状況

①勤務部署、業務内容
大丸直営店6店(心斎橋店、梅田店、京都店、神戸店、東京店、札幌店)の消費生活相談コーナーには合計16名の消費生活相談コーナーコンサルタントが常駐し、全員が消費生活アドバイザーの有資格者である。自己研鑽の時間を確保するため、またストレスの多い業務内容への配慮から、月に16日の勤務で、2名又は3名でシフトを組む勤務形態である。 主な業務内容は、お客様からの相談、苦情の受付、その解決である。必要に応じて、消費科学研究所に科学的な原因究明試験を依頼し、関係部署と連携をとりながら、問題解決を図る。 百貨店という特性上、お客様、百貨店売場担当者、取引先、それぞれの立場を考えた適切な顧客対応を行う必要がある。組織と個人の間の中立的な「第三者」の立場にたち、問題解決にあたることが求められている。

②NACS会員採用状況
幅広い知識を持ち、即戦力となれるといったことから、消費生活相談コーナーコンサルタントには消費生活アドバイザーを採用している。京阪神はNACS西日本支部の人材簿等を通じ、また東京、札幌は日本産業協会からの紹介を受けて、採用活動を行っている。

③社内における資格取得支援状況
大丸ではさまざまな資格について取得支援を行い、消費生活アドバイザー資格もその一つである。資格取得のための通信教育学費を補助する制度があり、多くの社員が活用している。

4.お客さま関連部門責任者からNACS会員およびNACSに期待すること

①社内のNACS会員に期待すること
時代対応型のコンサルタントであってほしい。時代の変化とともに、消費者の価値観、考え方は常に変化している。コンサルタントは「先義後利」という不変の企業理念をふまえた上で、時代や消費者の変化をキャッチし、それに即した対応を求めたい。

②NACSに期待すること
現在問題となっているさまざまな消費者関連の分野において活動し、時代に対応する組織であると思う。しかしながら、それぞれの活動状況、その進捗などが見えにくいように思う。ホームページなどを通じて、より詳しく活動状況を紹介、情報の開示をしてほしい。


<大丸で活躍する消費生活アドバイザーのお話>

㈱大丸・大阪心斎橋店 消費生活相談コーナー 西尾久絵様のお話

1.勤務の経緯、仕事内容

資格を取得し、それを生かして社会に出たいと考えた。主婦の経験を生かすことが出来るのではと、消費生活アドバイザー資格を取得し、NACS西日本支部を通じて消費科学研究所に就職した。 現在は大丸心斎橋店の消費生活相談コーナーに勤務、顧客対応の仕事をしている。直接お客様から、また店内の売り場を通じて相談を受け、その解決にあたる。必要に応じて、品質検査などを消費科学研究所に依頼、連携をとりながらより良い解決策をさぐりお客様の満足を得られるよう努めている。

2.NACS会員として仕事にやりがいを感じるとき

お客様が満足され、かつメーカーなど取引先に商品改善のための情報提供ができることが望ましいが、全ての案件がうまくいくとは限らない。むしろ失敗から学ぶことのほうが多く、それがやりがいとなり、次の意欲に繋がる。

3.資格を生かして仕事したい人へのアドバイス

消費生活アドバイザーとしての仕事は、決して高収入を得られるというわけではないが、お金以上に得られるものが多い。また消費生活アドバイザーの仲間は志が高い人が多く、交流することでよい刺激になる。

4.一般企業に期待すること

時代とともに消費者の目は厳しくなっている。消費者対応をクレーム処理のみに終わらせることなく、よりよい品質管理につなぐことができるようにするべきだと思う。そのためには消費者との窓口の感度を高めて、消費者や時代の変化に対応することが大切だと考えている。

5.自分にとっての今後の課題

専門知識を深めることはもちろん、コミュニケーション能力を高め、これからの顧客対応に生かしたい。百貨店内での対応においては、お客様、百貨店売場担当者、取引先のそれぞれの立場、さらに社会状況なども考えた適切な顧客対応が求められている。ともすると、自分があるべき立場を見失うことにもなりかねないが、それぞれのバランスを考え、自分の軸足をきちんと保つよう努力したい。


<訪問を終えて>

80年にわたる消費科学研究所の歴史や、その企業理念を2時間以上もの長い時間を割いて説明していただきました。熱意のこもったお話から、背骨の通った消費者志向の企業姿勢を感じることが出来ました。また、現状に満足することなく、さらなるスキルアップをめざしておられる現場の方の前向きな姿勢に接し、自分も見習わなければとの思いを強く持ちました。

このページのトップへ